その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく広大な宅地か否かが争われた事例
その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく広大な宅地か否かが争われた事例(関裁(諸)平25第43号 平成26年5月13日裁決)
本件土地の概要
本件土地は、地積996.00㎡の土地で、相続開始日現在平成8年に建築された貸事務所・倉庫の敷地として使用されていた。 本件土地の属する用途地域は、準住居地域(建ぺい率60%、容積率200%)と第一種住居地域(建ぺい率60%、容積率200%)とにまたがっている。
審判所の判断
(1)本件土地の地積が著しく広大であるかについて
原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば次の事実が認められる。
①本件丁地域内に所在する土地(農地、未利用地及び公衆用道路を除く。)について、戸建住宅の敷地として使用されている土地の面積の割合は約9%、倉庫及び店舗・事務所の敷地並びに駐車場用地として使用されている土地の面積の割合は約79%、集合住宅等の敷地として使用されている土地の面積の割合は約12%となっている。
②本件丁地域内の、倉庫及び店舗・事務所の敷地、駐車場用地並びに集合住宅等の敷地などの戸建住宅の敷地以外の用途で、かつ、1画地が500㎡以上の地積によって使用されている土地の面積の割合は約81%で、当該土地の1画地の平均地積は約1160㎡である。
本件丁地域内に所在する土地の使用状況について、上記①のとおり、戸建住宅の敷地として使用されている土地の面積の割合は約9%であり、倉庫および店舗・事務所の敷地ならびに駐車場用地として使用されている土地の面積の割合は約79%、集合住宅等の敷地として使用されている土地の面積の割合は約12%となっている。
そして、これらの本件丁地域内に存する土地の使用状況別の面積の割合からすると、倉庫および事務所の敷地としての土地の使用は、本件丁地域における特殊な使用形態とはいえない。
また、上記のとおり、倉庫及び店舗・事務所等の敷地、駐車場用地並びに集合住宅等の敷地などの戸建住宅の敷地以外の用途によって使用されている1画地の地積が500㎡以上である土地は、本件丁地域の土地の面積の約81%であることから、500㎡以上の地積により1画地として使用する方法は、本件丁地域における標準的な宅地の使用方法と認められる。
また、地積は996㎡であり、上記の1画地の平均地積約1160㎡を下回っている。そうすると、本件土地は、本件土地の所在する「その地域」である本件丁地域の標準的な宅地の地積に比して著しく広大な宅地とは認められない。
したがって、本件土地は、広大地通達に定める広大地には該当しない。
関連ページ:地積規模の大きな宅地の評価(https://erea-office.com/appraisal/new_koudaichi/)